免疫療法とは
がんワクチン治療とは
私たちの体内には、生まれつき免疫という防護機能が備わっています。
つまり、体の中に侵入した細菌やウイルスを免疫によって攻撃し、排除する仕組みです。例えばインフルエンザ予防接種はこの働きを応用しています。注射をすると体内でインフルエンザに対する免疫が作られ、ウイルスを攻撃して体外に排除するのです。
このように私たちの健康は、免疫が正常に機能しているおかげだといえます。
実は私たちの体内では1日に約5000個の細胞が"がん化"しています。これらのがん細胞は、免疫細胞によって攻撃、排除されているのです。
この、がん細胞を攻撃、排除する免疫細胞をがん治療に応用したものが、セレンクリニックグループのがん免疫療法(がんワクチン治療)です。
"がん細胞だけを攻撃する" 、"特異的" がん免疫療法
がん免疫に関する研究の進歩によって、患者さまの体内ではがん細胞を排除するための免疫の仕組みが上手く機能しなくなっていることが明らかになってきました。
この理由は、体内の免疫細胞ががん細胞をきちんと認識できないために、がん細胞を正しく攻撃できない、ということが原因だと分かってきています。
以前はこれを解決する手段がなかったために、がん細胞だけでなく正常な免疫細胞にも区別なく攻撃してしまう抗がん剤を用いて、身体のすべての細胞を攻撃するしか方法がありませんでした。そのために白血球減少などの重い副作用が生じました。
しかし、21世紀に入り「正常細胞に影響なく、がん細胞だけを特異的に攻撃する」という試みが、ようやく医療の現場で実現可能になってきました。
近年話題になっている"がんワクチン"は、インフルエンザワクチン(ウイルス独自の目印を身体に注射する治療)のように、「がん細胞独自の目印」を注射することによって、体内の免疫細胞ががん細胞だけを正しく認識できるようにするための治療法として開発されました。
このように、がん細胞だけに(=特異的に)作用する免疫療法を、総称して「特異的がん免疫療法」と呼びます。実は最新の抗がん剤である「分子標的治療薬」もがん細胞に特異的な目印に対して作用する「特異的がん免疫療法」の一つとして、研究開発が進んでいます。