樹状細胞ワクチン療法とは
樹状細胞とは?
樹状(じゅじょう)細胞とは、人間の体内にもともと存在している、枝のような突起(樹状突起)を持つ細胞です。つい最近まで、どのような役割を持った細胞なのか分かっていませんでしたが、実はこの樹状細胞は「がんに対する免疫の要(かなめ)」として、次のような非常に重要な働きを普段から担っている免疫細胞であることが分かってきました。

樹状細胞


というものです。
樹状細胞は、がんの目印を最初に体内で認識し、その情報を免疫細胞であるリンパ球に伝える役割を担っています。
樹状細胞の元となる細胞(単球)を患者さまの血液からとりだし、樹状細胞に育て、この樹状細胞に「がんの目印」をあらかじめ認識させます。
これをワクチンとして再び体内に注射して戻すことで、患者さまのがん細胞だけを攻撃することができます。
これが、当クリニックが専門とする"樹状細胞ワクチン療法″です。
セレンクリニックグループの「樹状細胞ワクチン療法」

当クリニックが専門とする"樹状細胞ワクチン療法″は、特異的がん免疫療法の一つである"がんワクチン治療"に、さらに自己の免疫細胞を用いることによってより確実にがん細胞に作用するよう進化させた「最先端の特異的がん免疫細胞療法」として、世界中で研究が行われています。
そして2010年、前立腺癌に対する樹状細胞ワクチン療法による延命効果が明確に証明され(注)、樹状細胞ワクチン療法が米国で認可されました。
このように、最先端の特異的がん免疫療法「樹状細胞ワクチン療法」は、第4のがん治療としてのエビデンス(検証結果)確立に向け、より新しい時代に入っているといえます。
樹状細胞ワクチン療法は、正常細胞に影響なく、がん細胞だけに特異的に作用することに加え、さらに自分自身の免疫細胞を用いてワクチンを作ることから、従来の抗がん剤のような重い副作用の心配がなく、QOL(生活の質)を維持しながらがん治療を行うことができるという特徴が挙げられます。
(注)フィリップ W ニューイングランドジャーナル 2010年
Philip W, et al. N Engl J Med 2010; 363:411-422
樹状細胞ワクチン療法の"3つの特長"
樹状細胞ワクチン療法は、患者さまの血液から取り出した細胞を樹状細胞に育て、がんの目印をつけて、再び体内に戻すことで、がんだけを攻撃することができる治療法です。
特徴1 : がんだけを攻撃できるので、"副作用の心配が少ない"
樹状細胞ワクチン療法は、最先端の「特異的」がん免疫療法で、患者さまのがん細胞だけを"狙い撃ち"する免疫を強力に活性化させます。
さらに、患者さまの細胞を使用してワクチンを作製するため、副作用の心配が少ないのです。
特徴2 : 長い間、がんを攻撃する"免疫力が持続" (インフルエンザワクチンと同じ仕組み)
樹状細胞ワクチン療法は"ワクチン"という名前の通り、患者さまのがんだけを狙い撃ちで攻撃する免疫力を体に"記憶させ"、長い間それを持続させることを目的としています。
すなわち、がんに対する免疫力が記憶されている間は、他のがん免疫療法のように延々と治療を継続する必要がないと考えられています。
特徴3 : 進行がん、転移しているがんにも有効
樹状細胞の働きによりがんの目印を覚えたリンパ球は、からだの中をめぐってがん細胞を攻撃します。
そのため、進行がんや転移しているがん細胞を攻撃することができます。